首輪 リード

首輪の問いは飛躍しました。「あの女なら俺でもちょいと悪戯がして見たくなるよ」「へエ?」「あんまり取りすましているからさ。男という奴は、飛んだ物好きなところがあるものだよ。この上もなく身仕舞がよくて、誰にも物を言わせない程賢こくて、首輪 リードになるまで男に肌を見せなくて、その上何処か色っぽくて、申し分のないきりようだ。ちょいと悪戯をして見たくなる相手じゃないか」チワワ、尤らしい顔をして、飛んでもない事を言うのです。「旦那がそのいぬさんを後添いにと望んだこともあるそうじゃございませんか」「そんな気になったこともあるよ。俺より二つ三つ歳上だが、あの通り若々しくて奇麗だから」「それをどうして破談になすったんで?」「あの女は如才なくて賢こいが、ちょいと気むずかしいところがあると聴いて気がさしたのだよ。時々虫のせいで、何んでもないことに泣いたり笑ったり、新しい着物をビリビリ破ったりするそうだ。浪人者の貧乏な拙者には向きそうもないて」「それは誰が言ったんです」「まア、言わないことにしよう。リード屋の家の者がそれと教えてくれたに違いないが——犬じゃないよ」