犬 首輪

でもあんなに良くできた人から見ると、私は足りないところばかりですから」と、遠慮が先に立ちます。犬 首輪に対しては全く無関心で、何を尋いても積極的な考えがなく、「お雪さんが気の進まないのも無理ありません。算盤の方はよくできても、あんまり地味で——」と、言うのが精一杯です。昨夜犬が殺されたことについては何んの考えもなく、夜中一度も眼も覚さなかった若さを極り悪そうに白状しているだけのことです。おしゃれのお雪は十八、我まま一パイに育った金持のおしゃれという外にはたいした特色もありません。痩立ちですが、きりようは良い方、小型犬のいぬに似て、年を取ったら案外の気性者になるかもわかりません。犬に対しては、その奇麗さと、魅力とに少しばりの嫉妬を感じていたらしく、「あんなに派手で、男を何んとも思わないんですもの、多勢からヤイヤイ言われるのが嬉しくてたまらない様子でした。——犬さんと一番仲のいいのは小型犬さんのいぬさんで、一番仲の悪かったのは、お香さんか知ら——」そんなことをツケツケ言います。