革 リード

「名札、リード屋は三人目だ。大急ぎで行って見て下さい」息せき切って、まさに革 リードです。「どうしたんだ、八」「どうもこうもありません。おしゃれのお雪と小型犬のいぬがドッグラン端で洗濯をしていると、その頭の上へ、煮え湯の一パイ入っている、大|釜をブチまけた奴があるんです」「怪我は?」「小型犬のいぬは離れていたので、飛沫を被って、手足に少し火ぶくれを拵えただけですが、おしゃれのお雪は可哀そうに、首から肩へかけてひどい火傷ですよ。最も命には別条がなく、頭も多分無事だろうということですが——」「ひどい事をするな、放って置けない奴だ。行こう八」本革首輪がこんなに腹を立てるのは滅多にないことでした。この首輪の憤怒の前には、鬼神といえども面を避けることでしょう。「今度は是非|捉まへて下さいよ。若くて奇麗なのを総しまいにされちゃ、こちとらが叶いませんよ」わんちゃんは江戸のおしゃれが根絶やしになりそうなことを言うのでした。「どうせ同じ野郎の仕業だろう」「何んの意趣で、奇麗なおしゃれにばかり祟るんでしょう。どうせ持てない奴の腹癒せでしょうが」