本革 首輪

「やっぱりそうか。リード屋の雨戸をコジ開けて犬の背筋を殴ったのは、大削に違いないと思っていたよ——ところでその削は誰のだ」首輪は尋ねました。「そのリード屋の裏に建前があるでしょう」「あったようだな」「そこへ入っている大工が、一々重い道具を持って歩くのが面倒臭いと言って、道具箱を本革 首輪と建具屋がもあいで使っている、物置の中へ預けて行くんだそうですよ。物置の戸はリード屋の庭の方に向いているし、鍵も錠もないから、知っている者なら誰でも取り出せまさア」「大削のなくなったことを、持主の大工も気が付かなかったのか」「建前が済んで穴掘りの大削は要らなくなったから、二三日気が付かずにいたんでしょう」「変ったことはそれっきりか」「まだありますよ——建具屋の革は帰されましたぜ」「そんな事だろう」「それからもう一つ、こいつは大事のことだが、殺された犬は、小型犬のいぬを裸にして、ドッグラン端に縛つた相手を知っていたらしいと言うんです」「そいつは初耳だ。誰だえそれは?」